米洗い・浸漬・蒸し

 
 
阿蘇山の麓にあたる山鹿は温泉地。
阿蘇山に降った雨が何十年もの年月を経て、
伏流水として涌き出しています。
清冽な水で、前日から精白米を洗い、
浸し、翌朝、蒸してゆきます。
外硬内柔、もうもうと上がる湯気。
米の良い香りが漂い始め、蒸し上がりの見極めは
麹づくり一筋50年の四代目・伸也会長。
五代目英司と二人三脚で、経験と
五感を駆使しての早朝の作業です。

種付・引き込み

 
蒸し上がったら、布の上に手作業で均等に広げます。
適温になるまで風を送り冷やしながらの作業ですが、
夏場は汗だく。もうもうと立つ湯気の中、一粒一粒
丁寧に扱うことで、ふんわりと優しい甘みを引き出すのです。
蒸し米の中心に手を入れて、長年の勘で温度を計ります。
手計りで適温になった蒸し米に種麹を振り入れ、
まんべんなく混ぜ込みます。力のある麹にするには、やはり手。
こすりつけるようにして米に傷をつけ、
麹菌が食い込みやすいようにしてやるのもその一つ。
機械を使わず、人力で心を込めるからこそ、できるおいしさを目指します。

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床もみ・麹盛り

 
昭和30年から今でも現役の麹室に一晩寝かせます。歴史と共に良質の酵母や乳酸菌が棲みついています。
翌朝、温度が上がったら、切り崩してならします。我が子のように手で扱って、麹の花を咲かせる。
気温や湿度によっては温度が上がりすぎないか、昼夜を問わず、目の離せない麹づくり。
夜中に蔵に行き、発酵具合を見守ることもあります。麹菌が元気良く働き、適度にぱらぱらになった
種付け米は、すでに深い甘さの良い香りを放ち始めています。
五感と手と食卓での笑顔を願う気持ち、この三つがひとつになって、
はじめてやわらかな甘みの麹が出来上がるのです。

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